トップページ ラジオ 歌謡ラジオ「午前0時の歌謡祭」 第64回放送 「木﨑賢治が語る『プロデュースの基本』(前篇)」

第64回放送 「木﨑賢治が語る『プロデュースの基本』(前篇)」

第64回放送 「木﨑賢治が語る『プロデュースの基本』(前篇)」

<2021.1.17 OA>

オーガナイザー:濱口英樹(歌謡曲愛好家) 

2016年1月にスタートした『午前0時の歌謡祭』。お陰様で5周年を迎えることができました。第1回の荻野目洋子さん以降、5年間でご出演いただいたゲストはのべ54名。アーティストのみならず、作家、音楽プロデューサーの皆さんもお招きして、他の音楽番組では聴けないような話を伺ってまいりました。ここまで番組が継続できたのは、リスナーの皆様のご支援のおかげ。今後とも『0時歌謡』をよろしくお願いいたします。
さて、6年目突入の記念回となった1月は音楽プロデューサーの木﨑賢治さんがゲスト。1971年以来、半世紀にわたって第一線で活躍を続けておられるヒットメーカーです。今までに手がけたアーティストはアラン・メリル、ブレッド&バター、PYG、沢田研二、萩原健一、アグネス・チャン、あいざき進也、木の実ナナ、三木聖子、山下久美子、伊藤銀次、大澤誉志幸、吉川晃司、槇原敬之、福山雅治、TRICERATOPS、BUMP OF CHICKEN、鈴木雅之など。オーガナイザー濱口が2018年に出版した『ヒットソングを創った男たち 歌謡曲黄金時代の仕掛人』にもご登場いただいています。
その木﨑さんは昨年12月に初の単著『プロデュースの基本』を集英社インターナショナルから出版されたばかり。番組ではその新著に関するお話はもちろん、蔵出しのエピソードを2週にわたってたっぷりと伺いました。前篇は70年代の木﨑ワークスと、現在プロデュースされているバンドの楽曲で構成いたしました。


木﨑賢治『プロデュースの基本』
発売日:2020年12月7日
新書判/256ページ
価格:880円(税別)
特設ページ:https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-7976-8062-1


01.「許されない愛」沢田研二(1972)
作詞:山上路夫 作曲:加瀬邦彦 編曲:東海林 修
渡辺音楽出版に入社して2年目に制作部門に異動した木﨑さんはソロ活動を始めた沢田研二を担当。ロンドン録音の2ndアルバム『JULIE Ⅱ』(71年12月)からシングルカットされた本作がディレクターとして初のTOP10ヒット(オリコン最高4位)となりました。学生時代から曲づくりをしてきた木﨑さんはこの時、「歌謡曲の世界でヒットを出すには、これくらいくっきりしたメロディでないとダメなんだ」ということを学んだといいます。

BGM.「危険なふたり」沢田研二(1973)
作詞:安井かずみ 作曲:加瀬邦彦 編曲:東海林 修
ジュリーにとっても、木﨑さんにとっても、初のチャート1位を獲得した6thシングル。ザ・タイガースのマネージャーだった池田道彦(79年に独立し、芸能事務所のアトリエ・ダンカンを創業)の発案をもとに「ダイアナ」(57年/ポール・アンカ)風のロックンロールにしたといいます。日本歌謡大賞のグランプリや、日本レコード大賞の大衆賞を受賞した本作は、ジュリーがスーパースターの座を確立した楽曲といえるでしょう。

BGM.「サムライ」沢田研二(1978)
作詞:阿久 悠 作曲:大野克夫 編曲:船山基紀
木﨑さんには「歌い手」と「詞」と「曲」の距離が離れていると大きな三角形ができて、多くの人に聴いてもらえる可能性が増えるという“三角形理論”がありますが、本作はその好例。阿久の詞を見た時、「これはハードロックになるだろう」と直感したそうですが、大野は逆を突いてバラードに仕上げ、その結果、『ザ・ベストテン』(TBS系)で7週連続の1位を獲得する大ヒットとなりました。前年11月にリリースされたアルバム『思いきり気障な人生』にはアレンジ違いのバージョンが収録されています。

02.「勝手にしやがれ」沢田研二(1977)
作詞:阿久 悠 作曲:大野克夫 編曲:船山基紀
オリコン1位を獲得し、日本レコード大賞と日本歌謡大賞をW受賞した19thシングル。木﨑さんは当初、阿久の詞に登場する主人公の情けないイメージがジュリーに合わないのではないかと心配したそうですが、当時流行していたフィラデルフィア・ソウル風の派手目なアレンジと、ジュリーの力強い歌い方によって、楽曲がスパークしたといいます。アーティストのイメージをなぞらない“三角形理論”は阿久との仕事を通じて学んだことでした。

03.「あなたに今夜はワインをふりかけ」沢田研二(1977)
作詞:阿久 悠 作曲:大野克夫 編曲:船山基紀
「勝手にしやがれ」の詞に一抹の不安を感じた木﨑さんは、阿久に「もう1篇、アラン・ドロン風の2枚目のイメージで書いてほしい」と依頼。その結果、誕生したのがこの曲でした。オリコン1位を獲得したアルバム『思いきり気障な人生』に収録された本作は、本人出演のマンズワインのCMソングに決定。ライブでの評判も良かったことから、22ndシングル「サムライ」のB面にも収録され、広く知られる楽曲となりました。

BGM.「草原の輝き」アグネス・チャン(1973)
作詞:安井かずみ 作曲:平尾昌晃 編曲:馬飼野俊一
オリコン2位まで上昇し、日本レコード大賞新人賞や、日本歌謡大賞の放送音楽新人賞を受賞した3rdシングル。アグネスの人気を決定づけた代表作と言っていいでしょう。サビのメロディは当初8小節しかありませんでしたが、それでは少し物足りないと感じた木﨑さんは作曲の平尾に「なみだを~」のメロディを繰り返すことを提案。曲先のため詞はついていませんでしたが、「かくして~」のメロディを加えることで聴き手にインパクトを与えることに成功します。

BGM.「小さな恋の物語」アグネス・チャン(1973)
作詞:山上路夫 作曲:森田公一 編曲:馬飼野俊一
オリコン1位を獲得し、アグネス最大のヒットを記録した4thシングル。木﨑さんはシングルとしては初のマイナースケールの曲にするべく、作曲の森田に「コンドルは飛んでいく」(70年/サイモン&ガーファンクル)のようなフォルクローレ調の曲を依頼、サビだけは渡辺プロの社長(渡辺 晋)の好みに合わせてメジャーにしたと言います。

04.「ポケットいっぱいの秘密(Album Ver.)」アグネス・チャン(1974)
作詞:松本 隆 作曲:穂口雄右 編曲:キャラメル・ママ
木﨑さんはアーティストのみならず、才能ある作家やミュージシャンを若手の段階で起用し、多くをヒットメーカーに育て上げています。本作でキャスティングされた松本 隆や穂口雄右も当時の歌謡界では実績のない新人でしたが、2人ともオリコン6位をマークしたこの曲が初のTOP10ヒットとなりました。今回は先行発売されたアルバム『アグネスの小さな日記』(オリコン最高5位)に収録されたキャラメル・ママの演奏・編曲によるバージョンをお届けしました(シングルVer.の編曲はキャラメル・ママと東海林修の共同クレジット)。

05.「まちぶせ」三木聖子(1976)
作詞・作曲:荒井由実 編曲:松任谷正隆
ニューミュージック系の作家とも早い段階で仕事をしていた木﨑さんは“荒井由実”時代のユーミンにも作品を依頼。アグネス・チャン「白いくつ下は似合わない」(75年)、沢田研二「ウインクでさよなら」(76年/作詞のみ)に次ぐ第3弾がこの「まちぶせ」でした。81年に石川ひとみがカバーして大ヒットした本作はもともと三木のデビュー曲として発売されオリコン47位をマーク。番組ではユーミンが三木に事前取材した制作エピソードが披露されました。

BGM.「GOING TO THE MOON」TRICERATOPS(1999)
作詞・作曲:和田 唱 編曲:TRICERATOPS
ポカリスエットのCMに起用され、オリコン5位のヒットを記録した彼ら最大のヒット曲。フロントマンの和田が高校1年の時に、渡辺ミキ(現・ワタナベエンターテインメント社長)の紹介で知り合った木﨑さんは詞や曲の作り方を指導し、バンドとしてのデビューに繋げます。トライセラの特徴ともいえるギターリフは木﨑さんのアドバイスから多用されるようになりました。

06.「名もなき感情」ウソツキ(2018)
作詞・作曲:竹田昌和 編曲:ウソツキ
2014年にデビューしたロックバンドの3rdアルバム『Diamonds』収録曲。先行配信された本作のMVはYouTubeの再生回数が380万回を突破し、20年9月には配信シングルで「名もなき感情~N.I.L 1979 Remix~』がリリースされました。木﨑さんは自ら教壇に立つ専門学校で開催されたオーディションで、フロントマンの竹田の詞・曲・声に惹かれて、バンドのプロデュースをすることになりました。

07.「未来を待てない」ANTENA(2020)
作詞・作曲:渡辺 諒 編曲:ANTENA
2017年にメジャーデビューした仙台在住のロックバンドが20年11月にリリースした配信シングル。彼らが演奏していたライブで声に惹かれた木﨑さんは曲づくりやアレンジのアドバイスをしたことがきっかけで、プロデュースを引き受けることになります。本作はコロナ禍でライブ活動が展開できないなか制作され、MVでは渡辺がダンスを披露するなど、バンドとして新しい一面を訴求しています。

08.「TOKIO」沢田研二(1980)
作詞:糸井重里 作曲:加瀬邦彦 編曲:後藤次利
80年の元日にリリースされた29thシングル。前年11月発売のアルバム『TOKIO』からのシングルカットでオリコン8位のヒットを記録しました。木﨑さんはアルバムの制作にあたって、時代の寵児として脚光を浴びていたコピーライターの糸井重里に収録曲のタイトル案を依頼。その中から本作や「MITSUKO」の作詞も依頼したといいます。当時流行のテクノポップスを新しい作家陣で構築した本作は80年代の幕開けを飾る曲となりました。

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