第10回 オリコンが歩んだ半世紀
<2016年10月16日放送>
オーガナイザー:濱口英樹(歌謡曲愛好家)
《第10回 オリコンが歩んだ半世紀》
日本で初めてレコード売り上げを調査・公表する会社として、オリジナルコンフィデンス(現・オリコン)が設立されたのは1967年。70年代にはTBS系の情報番組『ぎんざNOW!』に当時の社長・小池聰行氏が出演して、その名が広く知られるようになり、79年には一般向けの週刊誌『オリコン全国ヒット速報』(その後『オリコン・ウィークリー』『The一番』『オリ★スタ』などに誌名変更)を創刊。今ではあらゆるメディアでそのデータが引用されており「ヒットチャートと言えばオリコン」という地位を確立しています。実はオーガナイザーの濱口は『オリ★スタ』が2016年3月に休刊されるまで37年間、毎週買い続けたほどのオリコンファン。そこで今回は『オリコン・ウィークリー』時代に編集長を務めておられた、オリコン株式会社の取締役副社長・垂石克哉さんをゲストにお迎えし、来年で創業50周年となるオリコンの歴史を振り返りました。
01.「ラブユー東京」黒沢明とロス・プリモス(1966)
作詞:上原 尚 作曲・編曲:中川博之
68年1月4日付で発表されたオリコンの第1回シングルチャートで1位を獲得したムード歌謡の傑作です。もとはと言えば、彼らのデビュー曲「涙とともに」(66年4月発売)のB面に収録されていた作品ですが、有線を中心に人気を集めたことからA面に昇格。87年には『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)から生まれたパロディソング「ラブユー貧乏」もTOP100入りするヒットを記録しています。
BGM.「北国の二人」ジャッキー吉川とブルー・コメッツ(1967)
作詞:橋本 淳 作曲・編曲:井上忠夫
オリコンが67年秋に試験的に集計したチャートで首位を獲得した“幻の1位曲”。当時はGSブームの全盛期で、なかでもブルコメは67年に「ブルー・シャトウ」で日本レコード大賞を受賞するなど、その牽引役として活躍しました。本作でメインボーカルを務めているのは、現在、ザ・ニューブリードのバンドマスターも務める三原綱木です。
02. 「およげ!たいやきくん」子門真人(1975)
作詞:高田ひろお 作曲・編曲:佐瀬壽一
オリコン史上最大のシングルセールス(CD再発盤を含め455万枚)を誇る本作は、子供向け番組『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ系)から誕生したメガヒット曲。75年秋に番組で披露されると問い合わせが殺到し、緊急リリースされたシングル盤はシングルチャート初の初登場1位を獲得しました。ちなみにアルバムチャートでは、かぐや姫の『かぐや姫フォーエバー』が75年3月17日付けでオリコン史上初の初登場1位を記録しています。
BGM.「パールカラーにゆれて」山口百恵(1976)
作詞:千家和也 作曲・編曲:佐瀬壽一
デビュー曲「としごろ」が73年6月4日付けで75位に初登場してから、引退記念曲「一恵」が81年3月2日付の96位を最後にTOP100圏外に去るまで、7年9ヶ月間(405週)連続でランキングされ続けた山口百恵の14thシングル。前作「横須賀ストーリー」が自身最大のセールスを記録するなど、第2次ブームの最中だったこともあり、本作は「およげ!たいやきくん」、「ビューティフル・サンデー」(ダニエル・ブーン)に続く初登場1位をマークしました。
03.「北の宿から」都はるみ(1975)
作詞:阿久 悠 作曲:小林亜星 編曲:竹村次郎
オリコン史上最長となる通算35週間TOP10にランキングされた都はるみの代表曲です。75年12月に発売された本作は、その年の紅白歌合戦での歌唱を機に注目され、76年5月24日付けから18週連続でTOP10入り。6位を最高に一旦姿を消しますが、同年10月11日付けから77年1月31日付けまで、17週連続でTOP10入りを果たし、その間に通算5週の1位を獲得するミリオンヒットとなりました。なお連続TOP10入りとしては、小林幸子「おもいで酒」の32週が最高記録です。
04.「透明人間」ピンク・レディー(1978)
作詞:阿久 悠 作曲・編曲:都倉俊一
連続TOP100入りの記録を持つ山口百恵に対し、連続TOP10入りのレコードホルダーはピンク・レディー。76年11月29日付けで、デビュー曲「ペッパー警部」が8位にランキングされてから、78年12月4日付けで本作が10位を最後にTOP10圏外に去るまで、彼女たちは9作品で106週連続TOP10入りという快挙を達成しました。しかもその間、19週にわたって2曲が同時にTOP10入り。当時のPL旋風の凄まじさがこのことからも窺えます。
BGM.「関白宣言」さだまさし(1977)
作詞・作曲:さだまさし 編曲:福田郁次郎、さだまさし
2016年3月に37年の歴史を閉じた週刊エンタテインメント誌『オリ★スタ』の創刊は79年8月。当時は『オリコン全国ヒット速報』という誌名でしたが、その創刊号(79年8月13日付け)で1位を獲得したのが「関白宣言」でした。10週連続で1位を独走し、ミリオンセールスを記録した本作で、さだまさしは暮れの紅白にも初出場を果たしています。
05.「SWEET MEMORIES」松田聖子(1983)
作詞:松本 隆 作曲・編曲:大村雅朗
82年に『オリコン・ウィークリー』の編集長に就任された垂石さんが、当時印象的だったアーティストとして挙げたのが松田聖子。当時は新曲が発売されるごとに表紙を飾り、結婚休業前には直接インタビューを行なうなど、何かと交流があったようです。それもそのはず、彼女はピンク・レディーが樹立した9作連続1位の記録を「秘密の花園」で抜き、最終的に24作まで伸ばしたスーパースター。なかでも本作はその歌唱力を広く知らしめ、歌手としての幅を広げるきっかけを作りました。
BGM.「SAY YES」CHAGE & ASKA(1991)
作詞・作曲:飛鳥 涼 編曲:十川知司
80年代後半はアナログ時代の終焉でセールス規模が大幅に低下したシングル市場ですが、CDシングルの登場でV字回復。月9ドラマ『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)の主題歌に起用された本作は、平成期では最長の13週連続1位を獲得し、280万枚を超えるメガヒットを記録しました。
06.「太陽のKomachi Angel」B’z(1990)
作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘 編曲:松本孝弘、明石昌夫
CDの総セールスや首位獲得作品数など、数々のオリコン記録を持つB’zが、オリコンチャートで初の1位を獲得した記念すべき作品。90年代、00年代、10年代と常にトップランナーとして走り続ける彼らは2016年現在、シングル部門で48作連続1位の記録を更新中ですが、その伝説は本作から始まったと言えましょう。
07.「リフレインが叫んでる」松任谷由実(1988)
作詞・作曲:松任谷由実 編曲:松任谷正隆
CDで初めてミリオンセールスを達成したユーミンの20thアルバム『Delight Slight Light KISS』のオープニングチューン。シングルカットはされなかったものの、三菱自動車《新型ミラージュ》のCMに起用されたことで有線放送を中心にロングヒットを記録した。アルバムの発売当日、銀座の山野楽器で開催された“YUMING DAY”を取材に行った垂石さんは、ユーミンのCDを持ったOLがレジの前で行列を作っている光景を見て、時代の変わり目を感じたと言います。
08.「ヘッドライト・テールライト」中島みゆき(2000)
作詞・作曲:中島みゆき 編曲:瀬尾一三
NHKのドキュメンタリー番組『プロジェクトX~挑戦者たち~』のエンディングテーマ。当番組では、来年創業50周年を迎えるオリコンの挑戦はこれからも続くだろうという意味も含めて、本作をエンディング曲にセレクトしました。歌う中島みゆきは70年代に「わかれうた」、80年代に「悪女」、90年代に「空と君のあいだに」「旅人のうた」、00年代に本作とカップリングでリリースされた「地上の星」でシングルチャートの1位を獲得するなど、日本を代表するシンガーソングライターとして活躍を続けています。
《イントロクイズ解答》
「世界に一つだけの花(シングル・ヴァージョン)」SMAP
「クリスマス・イブ」山下達郎
「すきま風」杉良太郎
「涙そうそう」夏川りみ
「地上の星」中島みゆき