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第66回放送 「追悼・なかにし礼 オーガナイザーセレクション」

第66回放送 「追悼・なかにし礼 オーガナイザーセレクション」

<2021.3.21 OA>

オーガナイザー:濱口英樹(歌謡曲愛好家) 

3月は昨年12月に82歳で他界された作詞家・なかにし礼さんの追悼特集をお届けしました。
1938年(昭和13年)、中国東北部の黒竜江省で生まれたなかにし氏は、少年時代を当時の満州国ハルピンで過ごします。6歳の時、終戦を迎え、家族とともに命からがら帰国。その間に父親を亡くすなど、壮絶な引き揚げ体験は後年、『赤い月』(01年)という小説で描かれています。立教大学仏文科在学中にシャンソンの訳詞を始めた氏は、その頃に出会った石原裕次郎の勧めもあって、卒業後に作詞家としてデビュー。たちまちヒットメーカーとなり、日本レコード大賞を3回(68年/黛ジュン「天使の誘惑」、70年/菅原洋一「今日でお別れ」、82年/細川たかし「北酒場」)受賞したほか、作家としても『長崎ぶらぶら節』が2000年に直木賞を受賞するなど、文壇でも才能を発揮されました。
歌謡曲愛好家の濱口にとっては阿久 悠氏、筒美京平氏と並ぶ歌謡界の巨匠。番組では生涯で書かれた約4000篇の中から「今後は生まれないであろう」と思われる、なかにし氏ならではの濃密な作品をセレクトして、不世出の作詞家を偲びました。

<Informationコーナー>
2月24日発売『弘田三枝子 なかにし礼をうたう~人形の家~』
なかにし氏が弘田三枝子に書き下ろした12曲に、未発表曲「裁かれる女」、別アレンジの「ロダンの肖像」、ピアノ・バージョンの「人形の家」を加えた全15曲を収録。昨年7月に亡くなった弘田の訃報を受けて、氏がコロムビアのスタッフに「提供曲数によっては作品集を作ることができるのではないか」と提案したことがきっかけで企画されましたが、残念ながらリリースを待たずに他界されてしまいました。


01.「石狩挽歌」北原ミレイ(1975)
作詞:なかにし礼 作曲:浜 圭介 編曲:馬飼野俊一
かつてニシン漁で栄えた石狩湾の風景と、今は年老いた主人公の娘時代の記憶を重ね合わせた、北原ミレイの8thシングル。創作のきっかけは、ニシン漁への投資で莫大な負債を抱えた兄の存在で、なかにし氏は《オンボロロ》のフレーズが降りてきた瞬間、「いい歌ができた」という確信を得たそうです。オリコンでは最高70位でしたが、詩情溢れる世界観で日本作詩大賞の作品賞を受賞。歌謡史に残る傑作として今も歌い継がれています。

BGM.「今日でお別れ」菅原洋一(1969)
作詞:なかにし礼 作曲:宇井あきら 編曲:森岡賢一郎
70年に2度目の日本レコード大賞をなかにし氏にもたらした代表作の1つです。もともと早川博二のアレンジで67年にリリースされていましたが、森岡賢一郎のアレンジで69年12月に再発売。その結果、オリコン2位をマークする大ヒットとなりました。繊細な女心を情感豊かに表現する、氏ならではの作品ですが、ジェンダーフリーが叫ばれる現代では生まれない世界観といえましょう。

02.「悲しみは女だけに」浅丘ルリ子(1970)
作詞:なかにし礼 作曲:三木たかし 編曲:白鳥伍郎
日本を代表する実力派女優たちが参加したカバーアルバム『なかにし礼と12人の女優たち』(2015年/オリコン最高36位)、『なかにし礼と13人の女優たち』(2016年/同100位)が連続ヒットしたように、女優とは相性抜群のなかにし作品。浅丘主演の映画『愛の化石』(70年)の挿入歌に起用された本作でも「これぞ女優!」というべき迫真の語りが聴きどころです。ちなみに浅丘は『12人』で「愛のさざなみ」を、『13人』では「今日でお別れ」をカバーしています。

03.「サバの女王」グラシェラ・スサーナ(1972)
日本語詞:なかにし礼 作曲:Michel Laurent 編曲:福場哲之
アルゼンチン出身のグラシェラ・スサーナは、菅原洋一に見出され71年に来日。日本でのデビューシングルとなった本作はミシェル・ローランが67年にヒットさせたシャンソンの日本語カバーで、オリコン最高62位ながら約15万枚のヒットとなりました。シャンソンの訳詞から職業作詞家に転じたなかにし氏は、人生や恋愛の機微を表現する名手。《私はあなたの愛の奴隷》とまで言い切る本作はその本領が発揮された作品といえるでしょう。

04.「愛で殺したい」サーカス(1978)
日本語詞:なかにし礼 作曲:Michel Fugain 編曲:前田憲男
フランスのシンガーソングライター、ミシェル・フュガンの「Chante…Comme Si Tu Devais Mourir Demain(明日いのち尽きるかのように歌え)」(73年)の日本語カバー。75年にしばたはつみが「私の彼」(日本語詞:なかにし礼)というタイトルでカバーしていますが、DV男に惹かれてしまう女性を描いた同作とは異なり、サーカスVer.では愛する男を束縛したいヒロインの情熱的な恋心が歌われています。

BGM.「君は心の妻だから」鶴岡雅義と東京ロマンチカ(1969)
作詞:なかにし礼 作曲:鶴岡雅義 編曲:坂下晃治
夜の仕事をしている女性から絶大な人気を集めていたなかにし作品。もしかしたら不倫かもしれない「報われぬ恋」を描いたこの曲もその1つで、当時はクラブやキャバレーでこの曲が流れると、ホステスさんたちがみな涙したという伝説もあるほどです。聴く人によって様々な解釈が成り立つ余地があるのが歌謡曲の魅力ですが、本作はオリコン5位の大ヒットを記録しました。

05.「ホテル」島津ゆたか(1985)
作詞:なかにし礼 作曲:浜 圭介 編曲:竜崎孝路
《私の家の電話番号が男名前で書いてある》、《一度でいいからあなたの肌に爪を立てたい》等、生々しい描写で話題を呼んだ不倫歌謡の決定版。84年から85年にかけて、立花淳一(テイチク)、森本英世(東芝)など、各社競作となりましたが、今回は最もヒットした島津ゆたか盤(キング)をお届けしました。コンプライアンスや性描写に厳しくなった昨今ではこういう作品はもう作れないかもしれません。

06.「二時から四時の昼下り」朱里エイコ(1974)
作詞:なかにし礼 作曲・編曲:筒美京平
日本人離れしたソウルフルなボーカルで“リトル・ダイナマイト”の異名をとった朱里エイコの16thシングル。「なかにし礼×筒美京平」の2大ヒットメーカーによる、グルーヴィーなサウンドに乗せた不倫歌謡でしたが、なぜかヒットには至らず隠れた名曲となっています。午後の2時間、人目を忍んで逢瀬を重ねるワケありの男女というのは、等身大のラブソングやアイドルポップスが主流となった昨今ではお目にかかれなくなった設定。かつての歌謡曲は大人の世界を教えてくれるものでもありました。

BGM.「さくらの唄」美空ひばり(1976)
作詞:なかにし礼 作曲・編曲:三木たかし
なかにし氏が自身の離婚や実兄の借金問題などで苦悩している時に書かれた作品で、言ってみればこの世への遺言歌。《何もかも失くした》、《生きているのが辛い》等、救いのない言葉が続きますが、その詞に8小節しかないメロディをつけたのが三木たかしで、70年には三木のボーカルでシングル化されています。残念ながらヒットには至りませんでしたが、その歌が演出家・久世光彦の耳にとまり、山田太一の脚本でドラマ化された時に、主題歌として美空ひばりがカバーしました。オリコン最高66位。

07.「私が死んだら」弘田三枝子(1969)
作詞:なかにし礼 作曲・編曲:川口 真
“パンチのミコちゃん”から大人の歌手への脱皮を果たした前作「人形の家」と同じ作家陣によって制作された本作はオリコン5位まで上昇する連続ヒットを記録しました。いしだあゆみ「あなたならどうする」(70年)や、由紀さおり「手紙」(70年)など、なかにし氏には“激しい愛(エロス)”と“死(タナトス)”を歌った作品が数多くありますが、その作風には満州から命からがら引き揚げてきた氏の死生観が反映されています。

08.「美しき愛の掟」ザ・タイガース(1969)
作詞:なかにし礼 作曲:村井邦彦
トッポこと加橋かつみが脱退した直後に発売された9thシングルで、オリコン4位をマークしました。《君のために重い罪をおかし、鎖に繋がれても》、《人のそしりを受けて牢屋でも死んでも構いはしない》等、シリアスで演劇的な詞は、これぞなかにしワールド。学園紛争や70年安保で騒がしかった当時の世情にも通じる世界観といえるでしょう。

BGM.「あさくさ物語」水前寺清子(1983)
作詞:なかにし礼 作曲:森田公一 編曲:京 建輔
古賀政男記念音楽大賞で入賞するなど、作品的な評価が高かった本作は、83年の紅白歌合戦で出場19回目の水前寺清子に初の紅組トリをもたらしました。水商売の女性と、彼女のもとに通い詰める男性客との物語ですが、そこに昔の江戸の風情や情緒を絡ませた味わい深い作品です。シャンソンの訳詞からキャリアをスタートさせたなかにし氏ですが、80年代以降は日本情緒の作品も数多く発表。本作のほかにも、細川たかし「北酒場」(82年)、北島三郎「まつり」(84年)などをヒットさせています。

09.「風の盆恋歌」石川さゆり(1989)
作詞:なかにし礼 作曲:三木たかし 編曲:若草 恵
晩年、折に触れて「歌謡曲とは昭和そのものだった」と発言していたなかにし氏ですが、平成以降は作家としての活動にシフト。2000年には『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞します。平成元年に発売された本作は昭和期の作詞活動の集大成ともいえる傑作で、同年の日本作詩大賞を受賞。歌う石川さゆりに日本レコード大賞の最優秀歌唱賞と、初の紅白大トリをもたらしました。

《イントロクイズ解答》

 

 

 

 

「港町ブルース」森 進一

 

 

 

 

「別れの朝」ペドロ&カプリシャス

 

 

 

 

「冬の駅」小柳ルミ子

 

 

 

 

「心のこり」細川たかし

 

 

 

 

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