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第77回放送 「“混”のプロデューサー・酒井政利 追悼特集」

第77回放送 「“混”のプロデューサー・酒井政利 追悼特集」

<2022.1.16 OA>

オーガナイザー:濱口英樹(歌謡曲愛好家) 

番組開始6周年にあたる今回は2021年にお亡くなりになった音楽プロデューサー/メディアプロデューサーの酒井政利さんを偲んで、その偉大な足跡を酒井さんが手がけたヒット曲と共に振り返りました。
1935年、和歌山県で生まれた酒井さんは少年時代から映画に親しみ、立教大学文学部を卒業後、松竹に入社。映画界が斜陽を迎えたことから61年、日本コロムビアに転職します。以後、文芸部の制作ディレクターとして、守屋 浩、こまどり姉妹、島倉千代子らを担当し、64年には青山和子「愛と死をみつめて」で日本レコード大賞を受賞。68年には設立されたばかりのCBS・ソニーに一期生として入社し、フォーリーブス、南 沙織、郷ひろみ、山口百恵など、あまたの歌手を発掘・育成したほか、ベテラン歌手の再生でも手腕を発揮し、ヒットプロデューサーとしての地位を確立します。79年、ジュディ・オング「魅せられて」で自身2度目のレコード大賞を受賞した酒井さんはCBS・ソニーの取締役を経て、96年に酒井プロデュースオフィスを設立。生涯で300組以上のアーティストを手がけ、2020年には文化功労者として顕彰されましたが、2021年7月16日に85歳で旅立たれました。
オーガナイザー濱口にとっては2018年に出版した『ヒットソングを創った男たち 歌謡曲黄金時代の仕掛人』(シンコーミュージック)でロングインタビューに応じていただいたばかりか、出版記念イベントにもご出演いただくなど、お亡くなりになる直前までお世話になった大恩人。番組では酒井さんが2020年に文化功労者として顕彰された際に制作したCD2枚組のプライベート盤『混(メディアミックス)』に収録された楽曲を中心に、濱口が生前お伺いした様々なエピソードをご紹介いたしました。


01.「愛と死をみつめて」青山和子(1964)
作詞:大矢弘子 作曲・編曲:土田啓四郎
ディレクターになって4年目の酒井さんが老舗のコロムビアに初のレコード大賞をもたらした記念碑的作品です。難病に冒された少女と大学生の往復書簡をもとにした書籍を書店で見つけた酒井さんは「これは歌になる」と直感。すぐに版元に掛け合ってレコード化の独占契約を結びます。その後、大ベストセラーとなった同書はラジオドラマ、テレビドラマ、映画化され、本作もビッグセールスを記録。1960年に「榊原貴代子」名義でデビューした青山和子にとって、初のヒット曲となり、紅白歌合戦初出場も果たしました。

BGM.「大学かぞえうた」守屋 浩(1962)
補作詞:仲田三孝、浜口庫之助 作曲:不詳 編曲:浜口庫之助
1961年、日本コロムビアに入社した酒井さんは制作を担当する文芸部に所属。馬渕玄三や長田幸治など、名だたる先輩のもとで研鑽を積み、2年目に一本立ちを果たします。当時、歌声喫茶でよく歌われていた俗謡をベースにレコード化した本作は当初、実在の大学名が織り込まれていたことから、クレームが寄せられ発売中止となりますが、酒井さんは大学名を伏せた形で再発売。その話題性がセールスに結びつき、守屋にとって久々のヒットとなりました。

BGM.「時には母のない子のように」カルメン・マキ(1969)
作詞:寺山修司 作曲:田中未知 編曲:山屋 清
1968年、設立されたばかりのCBS・ソニーに入社した酒井さんは、前衛劇団「天井桟敷」を主宰していた寺山修司の言葉の力に惚れ込み、『初恋地獄篇』というアルバムを共同で制作。そのプロジェクトを通じて、篠山紀信、和田 誠、八木正生、小椋 佳などの才能と出会います。天井桟敷の劇団員だったカルメン・マキのデビュー曲としてリリースされた本作はオリコン2位の大ヒットを記録。酒井さんはCBS・ソニー初の社長賞を授与されました。

02.「色づく街」南 沙織(1973)
作詞:有馬三恵子 作曲・編曲:筒美京平
酒井さんは1970年、CBS・ソニー社長(当時)の大賀典雄に命じられて米国へ出張。エンタテインメントの本場で見聞を広めます。現地のプロデューサーから、フランク・シナトラがデビューした時は女学生のアイドルだったと聞いたことから、帰国後に自身もアイドル戦略を始動。その第1号が71年に「17才」でデビューした南 沙織でした。歌い手本人の成長に合わせた私小説的展開と季節感を重視したシンシアのプロジェクトは歌謡界にアイドルブームを巻き起こし、9thシングルにあたる本作もオリコン4位まで上昇します。

03.「よろしく哀愁」郷ひろみ(1974)
作詞:安井かずみ 作曲:筒美京平 編曲:森岡賢一郎
「プロデュースの極意は意外なもの同士を組み合わせること」「光と影のバランスが大事」――。そう公言していた酒井さんが例として挙げていたのが本作です。72年に「男の子女の子」でデビューした郷ひろみは陽性のアイドルとして人気を博していましたが、酒井さんは彼が19歳になる直前にあえて翳りのある歌をプロデュース。本人出演のドラマ『ちょっとしあわせ』(NET系)の主題歌にも起用され、郷にとって初のチャート1位曲となりました。

04.「赤い風船」浅田美代子(1973)
作詞:安井かずみ 作曲・編曲:筒美京平
文化功労者顕彰記念として制作されたプライベート盤『混』のブックレットで「プロデュースの源泉に“混”を置いている。時に“メディアミックス”という方法に言い換えてきた」と記した酒井さん。その言葉通り、早くからテレビや雑誌など、多くのメディアと組んで成功を収めてきました。TBS系ドラマ『時間ですよ(第3シリーズ)』のお手伝いさん役で芸能界入りした浅田のデビュー曲として制作された本作は、劇中でもたびたび歌唱されてオリコン初登場2位をマーク。翌週から5週連続で1位を獲得し、タイアップの有効性を実証しました。

BGM.「雨がやんだら」朝丘雪路(1970)
作詞:なかにし礼 作曲・編曲:筒美京平
CBS・ソニーに入社した酒井さんはフォーリーブス以降、南 沙織、郷ひろみ、山口百恵など、あまたのアイドルでヒットを連発しますが、並行して、中堅・ベテランの域に達した女性歌手の復活・再生も数多く手掛けました。その第1弾がクラウンから移籍してきた朝丘雪路で、ソニー第1弾シングルにあたる本作はオリコン5位まで上昇。しばらくヒットから遠ざかっていた朝丘は5年ぶりに紅白歌合戦への出場を果たします。

05.「他人の関係」金井克子(1973)
作詞:有馬三恵子 作曲・編曲:川口 真
朝丘雪路の成功で、低迷している歌手の“再生路線”を軌道に乗せた酒井さんは、コロムビアからCBS・ソニーに移籍してきた金井克子の制作も担当。西野バレエ団のレ・ガールズの一員として活躍しながら、歌手としてはヒットがなかった金井にあえて無表情な歌い方と機械的な動きをさせることで、視聴者に強烈なインパクトを与えました。TBS系『ぎんざナイトナイト』の「今月の歌」に起用されたことも追い風となり、本作はオリコン最高7位。2014年には一青 窈が19thシングルとしてカバーし、オリコン55位をマークしています。

06.「浮世絵の街」内田あかり(1973)
作詞:石坂まさを 作曲・編曲:川口 真
1967年、本名の“大形久仁子”名義で東芝からデビューするも、ソロとしてのヒットに恵まれなかった内田あかりのCBS・ソニー移籍第1弾シングルです。酒井さんは芸名を変えただけでなく、クセのある歌い方を和らげるためにすべて裏声で歌うように注文。ユニークなタイトルも、透けた布地に浮世絵が浮かぶコスチュームを山本寛斎にデザインしてもらったのも、酒井さんの発案によるものでした。TBS系『ぎんざナイトナイト』の「今月の歌」に起用された本作はオリコン16位のヒットを記録。内田の代表曲となりました。

BGM.「きみの朝」岸田智史(1979)
作詞:岡本おさみ 作曲:岸田智史 編曲:大村雅朗
岸田自身が新人歌手役で出演したTBS系ドラマ『愛と喝采と』の劇中歌で、ドラマの展開と同様にヒットチャートを上昇。オリコン1位を5週連続で獲得する大ヒットになりました。一躍ブレイクを果たした岸田は大学在学中に制作したデモテープが酒井さんの耳に留まり、76年に「蒼い旅」でシンガーソングライターとしてデビュー。8thシングルの本作で作詞を担当した岡本おさみはドラマの脚本を手がけた岡本克己の実弟にあたります。

07.「同棲時代」大信田礼子(1973)
作詞:上村一夫 作曲:都倉俊一 編曲:高田 弘
東映の人気女優で1970年に「女の学校」で歌手デビューした大信田礼子の6thシングル。彼女の担当になった酒井さんは、上村一夫の漫画『同棲時代』に着目し、レコード化の独占権を獲得し、作詞とジャケット画も上村に依頼します。リリースと同時期にテレビドラマ(梶 芽衣子・沢田研二主演)や映画(由美かおる・仲 雅美主演)で映像化されたこともあり、本作はオリコン6位のヒットを記録。ナレーションは阿井喬子が担当しています。

08.「愛あればこそ 宝塚グランド・ロマン『ベルサイユのばら』」安奈 淳(1976)
作詞:植田紳爾 作曲:寺田瀧雄 編曲:馬飼野俊一
池田理代子の漫画『ベルサイユのばら』を原作とする宝塚歌劇の同名ミュージカルのテーマ曲。早い段階で『ベルばら』のヒットを予感した酒井さんはレコード化の独占契約を結びます。第1弾はJOHNNYS’ ジュニア・スペシャルのデビュー曲「ベルサイユのばら」(75年)でオリコン12位をマーク。オスカルを演じた花組トップ(当時)の安奈 淳が歌った本作はオリコン最高27位ながらロングセラーを記録しました。

BGM.「妻が願った最期の『七日間』」クミコ(2019)
作詞:覚 和歌子 作曲:KEN for 2SOUL MUSIC, INC.、Philip Woo、JUNE 編曲:KEN for 2SOUL MUSIC
酒井さんが令和最初のプロデュース曲としてリリースした本作は朝日新聞への投書がきっかけで単行本になった同名書籍に着想を得て制作された楽曲。夫婦の純愛をテーマにした作品でスマッシュヒットとなりました。

09.「いい日旅立ち」山口百恵(1978)
作詞・作曲:谷村新司 編曲:川口 真
1977年、電通の企画による「南太平洋の旅」に池田満寿夫や横尾忠則、阿久 悠など、稀代のクリエイター7名とともに参加した酒井さんは大いに触発され、帰国後にメディアとの大型タイアップ企画を次々と立案。そこから4曲の大ヒットが生まれます。国鉄のキャンペーンソングに起用された本作はメディア戦略4部作の第2弾でオリコン3位をマーク。山口百恵を国民的歌手にし、現在では日本のスタンダードポップスとなっています。

《イントロクイズ解答》

 

 

 

 

「時間よ止まれ」矢沢永吉

 

 

 

 

「横須賀ストーリー」山口百恵

 

 

 

 

「微笑がえし」キャンディーズ

 

 

 

 

「魅せられて-エーゲ海のテーマ-」ジュディ・オング

 

 

 

 

「異邦人-シルクロードのテーマ-」久保田早紀

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